渦度とは?
渦度とは一言で,流れの回転に伴う量です.下の例をご覧ください.
流れの速さに差が生じると,その間を埋めるように回転した流れが形成されます.水の流れで考えるとわかりやすいかもしれません.水の流れが,速いところと止まっているところの間には渦ができます.この回転を定量化したのが渦度になります.例1のように反時計回り(低気圧性の回転)を正,時計回り(高気圧性の回転)を負として定義しています.低気圧性(高気圧性)の渦が発生すると,空気は収束(発散)します.すると,空気は逃げ場を求めて上昇(空気を満たすため下降)します.このように渦度は空気の上昇・下降を表現します.
渦度は500 hPa天気図に登場する
渦度は500hPa天気図に登場します.そもそも,気象現象が起こっているのは高度0~約11 km (気圧約1000~約200 hPa)の対流圏の範囲です.下図をご覧ください.今記述した対流圏の概念図です.
対流圏内の大局的な流れを考えると,500 hPaという気圧面では水平方向の大気の動きがほとんどなく,鉛直方向のみであると言えます.前述したように渦度は大気の流れの鉛直方向の動きを捉える量です.500 hPaで純粋に鉛直方向成分のみを扱うことができるため採用されているという訳です.
渦度の分布から偏西風を解析できる
前述したように渦度は500 hPa天気図に登場します.この天気図では,渦度の分布から偏西風(ジェット)の中心軸の位置を推定することができます.そもそも風は,温度や気圧の非平衡を均すために吹きます.特に偏西風は中緯度帯の温度平衡を保つために吹く大局的な風です.高緯度帯と低緯度帯では空気の温かさに多いな違いがあるため,温かい空気を北に,冷たい空気を南に送るのが偏西風の役割です.
上図のように,偏西風が北へ向かうときは暖気を,南へ向かうときは寒気を運びます.さて,偏西風(ジェット)は付近で最も速度が大きい風になります.すると,下図のような状況が発生します.
ジェットに比べ周囲の風速は遅いので,ジェットの北側には負の渦度が,南側には正の渦度が解析されることになります.これを逆手に取って,負の渦度の領域と正の渦度の領域の境界に線を引けば,それがジェットであると推定できます.この線を渦度0線と呼びます.
実際に天気図を用いて解析する様子は以下のページをぜひご覧ください.
高層天気図の読み方 500 hPa予想天気図
500 hPa予想天気図 | ワンゲラーの天気図解析 (jediweatheranalysis.com)
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