冬の特徴的な気圧配置である里雪型について説明します。
今回は2023/01/28 9:00の予想天気図で説明します。
地上天気図の特徴
里雪型ではその名の通り里でも雪が降る。等圧線(赤色で示す)は山雪型と比較して間隔が広く、走向も南北になるとは限らない。特徴的なのは、紫色の点線で囲んだ領域で等圧線が少し歪んでいる点である。ここでは、同じ経度で南北の領域と比べた時に気圧が低い状態=上昇気流が発生している可能性がある。特にJPCZと呼ばれる収束帯(雪雲が発生・発達しやすい)が現れていることが多い。緑色で塗りつぶした領域は前12時間降水域で、日本海側を中心に降雪となることが予想される。山雪型と違って、平地でも雪が降る可能性があるのが里雪型である。
850 hPa天気図の特徴: JPCZの現れ
850 hPaの等相当温位線・風の分布を示した。JPCZ周辺では海水から蒸発した水蒸気が上昇するため、周囲よりも相当温位が大きくなる。実際に等相当温位線の分布からもそれが読み取れ、その付近がJPCZと言える。JPCZと、その延長線上にある地域は強い降雪が予想されるため、注意が必要。
500 hPa天気図の特徴: 寒気の南下
700 hPa・500 hPaの統合した天気図をもって説明する。里雪型のとき、上空には寒気が日本列島(特に日本海側)まで南下している。上空に寒気が入ると、日本海の海水(暖流)と上空の気温差が平時より広がり水蒸気の蒸発・上昇がより活発になる。山雪型と違って斜面を上昇して雪になるわけではなく、里雪型では温度の差により対流が活発になるため、陸地に到達する前に積乱雲が発達し里にも雪が降る。上空に入る寒気の気温が低ければ低いほど対流が激しく、降雪の強度は強くなる。実際にこの予想天気図でも沿海州に、中心が500 hPaで-48℃の寒気が南下している。それに伴って日本海は寒気に覆われている。一般に、500 hPaで-30℃の寒気が入ると雪、-36℃が入ると大雪になると言われている。
300 hPa天気図の特徴・ジェットの特徴
こちらは01/28 21:00の予想天気図で、予想時刻が異なるが里雪型の特徴をよく表しているので採用する。上空に寒気が南下するとき、寒冷前線ジェットは大きく蛇行している。実際このときも大きな曲率を以って蛇行し、トラフが形成され、寒気(300 hPa低気圧中心:赤い✕で示す)が南下している。寒冷前線ジェットの蛇行が大きいときは大雪に繋がりやすい、ということを覚えておきたい。
里雪型では大雪に注意
里雪型ではその名の通り里でも雪が降る。逆に山では、日本海での対流に山の斜面上昇が加わり大雪となる恐れがある。風が強くなくても視界が悪くなることがある。また、一晩でテントが埋もれるような大雪に見舞われることもあるため、吹き溜まりを避けたり夜中に適宜除雪したりと対策が必要となる。
本投稿は気象庁「数値予報天気図」を加工して作成しています。
気象庁 Japan Meteorological Agency (jma.go.jp)
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