東北の山域や北アルプス北部で暴風、強雨に警戒。その他の地域では湿った空気が流れ込んで曇りがちで、すっきりしない天気が続く。丹沢や東海地方の山域、四国や九州の太平洋側では、太平洋高気圧に覆われて晴れ間がのぞく。
地上(等圧線・前12時間降水量)
停滞前線は北上し、東北地方にかけて伸びる。東北地方の日本海側では多くの降水量が予想されているため、警戒が必要。関東より西の太平洋側では、太平洋高気圧の勢力下に入る可能性があり、晴れ間がありそう。
500 hPa(等高度線・渦度)
日本付近では気圧のリッジが通過中で、東北地方を中心に晴れやすい、と言いたいところだが、実際には多くの降水が予想されている。これは、後述するように下層に大量の湿った空気が供給されるためである。実際、日本海中部には値が大きい負渦度正渦度域(=上昇流域)が解析されており、リッジであっても活発な対流が起きる事が示唆されている。リッジだからこそ湿った空気も入りやすい、とも考えられる。リッジでは暖気を北に供給する役割があるため、それに引っ張られて暖かく湿った空気が流れ込んでいる、と考えられる。
850 hPa(等相当温位線・風)
温暖湿潤空気が停滞前線に向かって流れ込む様子がよくわかる。特に、354 Kの相当温位が高い空気が東北地方に向かっている。また、東北地方の日本海沿岸では最大65 KT(=30-35 m/s)の西よりの風が予想されている。これは、高気圧の外縁の南西風と、その北にいる低気圧の暖域の南西風が合流したことで強化されたものと考えられ、これらの事象から、温暖湿潤空気が東北地方や北アルプスに向かって大量に供給され、それが斜面にあたることで活発な上昇気流が生み出されるのであろう。急速に大量の湿った空気が上昇するため、激しい雨となることが予想される。前線の位置によっては、北アルプス南部や北陸地方の山域でも強雨、強風となる可能性がある。西風が強まるかどうかに注意したい。
850 hPa(等温線)&700 hPa(鉛直p速度)
東北地方の日本海側で大きな上昇流(負の鉛直p速度)が解析されている。ここで活発な対流が起きていると予想される。前線の位置によってはこれらが南下したり(北アルプス南部や北陸方面)、北上したり(北海道方面)する可能性もある。850 hPaの温度分布では、日本海に暖気が流入している様子。これは上空のリッジに同調して北に向かった暖気と言える。大陸では21度の暖気が控えており、夜にかけて次第に東進する予想。
700 hPa(湿数)&500 hPa(等温線)
湿潤域は、停滞前線に沿った領域と、北日本に広がる。停滞前線に伴う降雨域は広く、とくに北側に入る北海道では地上の降雨はなくても山での降雨はあると予想される。温度分布からは、-3℃の空気が南西から流れ込む様子がよく分かる。下層も上層も温まるため、温度差が大きくなって雷、という可能性は低いが、下層だけに急速に温暖湿潤空気が流れ込むと、激しい対流によって雷が併発するため、東北、上越、中部では注意したい。
本投稿は気象庁「数値予報天気図」を加工して作成しています。
気象庁 Japan Meteorological Agency (jma.go.jp)
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