今回は地上天気図の等圧線の読み方について説明します。始めにお伝えすると、読み方において画一的な方法はないです。あくまで傾向を知るための方法、と受け取ってください。また、高気圧や低気圧、前線などはご理解頂いている前提でお話を進めます。
気圧の尾根・谷を把握しよう
例として、2022/04/05 09:00の実況天気図を用います。
この日は、関東から東北で午前中曇りや雨で西日本では日中は晴れでした(夕方以降は曇り)。おおまかな天気の傾向を知るために「気圧の尾根と谷」を把握すると良いでしょう。等圧線は、地形図で描かれる等高線と同じように読むことができます。等高線で分かる地形としての尾根と谷にならって「気圧の尾根・谷」と表現します。次の図に、明瞭に現れている気圧の尾根と谷を書き加えました。
紫色の線が気圧の尾根。緑色の線が気圧の谷です。さて、あたりまえのことですが山では標高の高いところから低いところに向かって水は流れ落ちます。 大気でも同じことが起きます。空気は、気圧の高いところから低いところに集まっていくのです。例えば、華南~日本列島~太平洋にかけて長い気圧の尾根が解析できます。この尾根の断面図を見ると以下の通りになります。
東シナ海と太平洋に気圧の高いところがあって、そこから気圧の低い日本に向かって空気が集まってきます。空気が集まり過ぎるとキャパオーバーとなってしまうため、逃げ場を求めて上に逃げます(=上昇気流)。もしその空気に水蒸気が多く含まれていれば雲が出来て雨となります。
そして空気はどんどん低いところへ向かいます。谷へ流れた空気はやがて低気圧の中心に集まっていきます。谷へは簡単に落ちてしまうため空気がどんどん集まり、上昇気流が発生しやすくなります。
気圧の尾根:晴れやすい・気圧の谷:天気が崩れやすい
先述したように、気圧の尾根では空気は逃げていきやすいため、雲生成につながる上昇気流は発生しにくいです。反対に、気圧の谷では空気が集まりやすく、上昇気流が発生しやすいです。そのため、気圧の尾根では晴れやすく、気圧の谷では天気は崩れやすい傾向にあります。実際に当日も、気圧の尾根上に位置する西日本では晴れており、尾根の一番低い関東から東北は曇りや雨だったのも、この考え方に基づくものと考えられます。もちろん、天気は地上の様子からだけで決まることはなく、大気下層→中層→上層の情報が必要不可欠です。
天気図は気象庁「過去の天気図」より引用
気象庁|過去の天気図 (jma.go.jp)
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