2023/09/23-24 前穂高・奥穂高

ふみあと

9/23 5:10 上高地BT ~ 7:15 岳沢小屋 ~ 10:35 前穂高岳 ~ 12:50 奥穂高岳 ~ 13:45 穂高岳山荘

9/24 4:55 穂高岳山荘 ~ 6:30 涸沢ヒュッテ ~ 8:30 横尾山荘 ~ 11:10 上高地BT

9/23 曇り時々晴れ。ガスに覆われる時間が多かった。

09:00の実況天気図で当日の天気を振り返る。

地上天気図

夏と秋の空気の境となる停滞前線が日本の南海上に伸び、全国的に涼しくなった。北アルプス周辺では大陸の高気圧に覆われて晴れる予想であったが当日は標高2000-2500 mより上部で雲が沸き、穂高の稜線ではガスに覆われる時間が多かった。

850 hPa(等高度線・等温線・湿数)

北アルプス最寄りの高層観測点の輪島は現在休止中である。そのため、次に近い秋田の情報も使って考察する。北アルプス周辺では北よりの風が吹いていた。実際、秋田では北の風15 KTとなっている。穂高周辺では気温は13℃、湿数は不明だが、湿潤域に近いことから6℃前後と想像される。停滞前線のすぐ北側で、温度勾配が大きくなっている。

700 hPa(等高度線・等温線・湿数)

700 hPaでは風向は西よりに変化していたと見られる。穂高周辺では気温は6℃、湿数は周りの観測点の湿数から勾配を想像して、10℃前後か?今回は穂高の南側から登ったが、穂高の稜線に北面から雲が吹き付けている様子が見られた。

500 hPa(等高度線・等温線)

亜熱帯ジェットの通り道は、実際の前線よりも500 km程北側である。ジェットの蛇行に伴ってトラフが接近しているが、北アルプス周辺にまでは影響を及ばさない緯度である。穂高周辺では風向は南西、気温は-9℃と考えられる。下層からの風向の鉛直方向の変化は、反時計回りであり、このとき、現地では寒気移流があると言える。850 hPaと500 hPaの気温差は22℃あり、夏であればにわか雨と雷の可能性が言及される程度である。

以上から、穂高周辺では大陸の高気圧に覆われて晴れやすい状況であった。しかし、大気上層まで考えると、上空に寒気が流れ込んだことで大気下層と上層の気温差が大きくなり(気温減率は 13-(-9)℃ / (5880-1530)m = 0.51℃/100 m)、対流が発生しやすい状況であった。そのため、雲が沸きやすく、実際に稜線を覆うまで成長したと考えられる。

実際の天気の移り変わり

8:00頃標高2400m付近、南側。同じくらいの目線に雲底がある。この時間で既に山岳南側でも雲が発達していた。

9:00頃岳沢パノラマ。左は東方面(前穂方面)、右は西方面(西穂方面)を撮ったもの。どちらも稜線の向こう側から雲が乗り越えようと迫っている。

10:00頃紀美子平直下。前穂方面。既に雲が乗り越え周囲はガス。

12:00頃P3071手前からP3071方面。この時間になると南西側にガスが多く、北東側は景色が見えていた。北側からの雲の生成が落ち着き、700 hPaの風向に従って雲が吹き付けていたか?

13:00頃奥穂高岳山頂、南西方面。このときは周りは晴れて、上層の雲のみが観察された。お昼前後はガスは流動的で、覆われているときと晴れて上高地まで見えるときが繰り返された。

13:30頃、穂高岳山荘へ至る急登の手前から涸沢岳。この時間は南西側はガスは取れて、北東側にガスが溜まっていた。涸沢側は窪地のようになっているのでガスが溜まるときがあるのだろうか。

一日を通して振り返ると、朝早いうちは北側から雲が成長してきて、お昼になると雲の生成が落ち着いたのか、南西風で流れ込むガスが稜線を覆うような状況だった。

地上・高層天気図は「北海道放送 専門天気図」より引用

https://www.hbc.co.jp/weather/pro-weather.html

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