今回は年間通しての頻出単語「風の収束」について説明します。
風の収束は上昇気流につながる
何らかの理由により風が収束すると、その収束帯では上昇気流が発生しやすくなります。下の図をご覧ください。
お互い衝突する方向に風が吹くと、一か所に空気が集まります。すると集まった空気はどこかへ逃げようとします。しかし水平方向には風が吹いているので逃げられません。そのため、上空に向かって逃げるのです。このことから風の収束帯があると上昇気流が発生しやすくなります。この収束のことを「風のシア」とも呼びます。
風の収束の例1
こちらは2023/03/09 21:00の850 hPa予想天気図(FXJP854)です。沖縄~九州にかけて注目してください。緑で囲んだ領域では、東西の高気圧性循環がぶつかり合っています。
拡大して見ると、緑の線を境界に風向が変化しており、そこに向かって空気が集まることが予想されています。つまりこの収束域に沿って上昇気流が発生すると推測できます。実際、同時刻の降雨の予想を見てみると、
九州から沖縄にかけて雨が予想されています。このように、風の収束があると上昇気流が発生し、降雨をもたらす可能性が高いです。
風の収束の例2: 日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)
最近よく聞くようになりましたが、冬に日本海で出現する収束帯です。
こちらは2023/01/27 21:00の850 hPa予想天気図(FXJP854)です。冬はシベリアにいるシベリア気団(寒冷乾燥な気団)が勢力を強め、北西の風が卓越します。そして朝鮮半島の付け根には長白山脈という山地が存在します。北西の風はこれを避けるように左右に一旦分かれて吹きます。それが日本海で再び合流すると、風の収束が発生するのです。
拡大して見ると、緑色の線に沿って風向が急激に変化しています。冬は上空の寒気と暖流が流れる日本海との間で大きな気温差が生まれる上に、風の収束により上昇気流がもたらされるため、大量の降雪につながりやすいです。だからJPCZは警戒されています。実際このときの地上天気図で予想された降水域は以下の通りです。
先述した緑線に沿って降水域が分布していることが分かります。
FXJP854がオススメ
今見てきたように、風の収束を確認するにはFXJP854がオススメです。風の情報の解像度が最も高いためです。風の収束を見つけることで天候の崩れの予兆を捉えることができます。
本投稿は気象庁「数値予報天気図」を加工して作成しています。
気象庁 Japan Meteorological Agency (jma.go.jp)
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