皆既月食が見られます

2026/3/3の夜は皆既月食。多くの人がまだ起きている時間なので、夜ご飯後のお楽しみとして観測できそうだね!
国立天文台のHPで詳しい時間帯が確認できます。
大気の透明度

せっかく晴れてるのに空は濁っている…なんて悲しいよね。どうしたら好条件にあたるの?

透明度が下がる要素はいくつかあるんだ。それらを回避ができる気象条件かどうか調べてみよう!
大気の透明度を下げる要素は挙げればキリがないが、大きく3つに分けられるだろう。
- 大気中の水蒸気:空気が湿っていると光が散乱するため「ぼやっ」とした様子となる。写真を取っても輪郭がぼやける。
- 空気中のチリ:PM2.5などの物質や、春は黄砂や花粉も気になるところ。
- 光害:街の光は観測、撮影共に悪影響
今回は1と2の調べ方を見ていこう。
大気中の水蒸気

秋空は、夏空と比べて抜けるような夜空になることが多いのも「水蒸気」の違いが原因なんだね。

そうなんだ。秋になると大陸で育った、乾燥した冷たい空気を運ぶようになってくる。そういう性質の高気圧に覆われるとすっきりした夜空が見られるね。
寒冷前線通過後
寒冷前線の背後には、乾燥した冷たい空気が控えている。一般に、通過後は気温は下がり、空気は乾燥に向かう。また、雨により空気中のチリも流されていくので、よく「空気が洗われた」と表現される。例として2026/2/22~翌2/23の寒冷前線の通過前後の気象要素を見てみよう。まずは天気図を確認しよう。


福岡では22日の21時過ぎに寒冷前線が通過したと読み取れる。この日は2月としては記録的な暖かさとなり、福岡の最高気温は23.1℃であった。日本海の低気圧に向かって南から暖かく湿った空気が流れ込んだことが原因の一つだ。福岡のアメダスの記録を見てみよう。

海面気圧(黄)を確認すると、寒冷前線通過後に気圧が上昇している。これは高気圧に覆われるようになったことを示す。
湿度(青)を見てみると、寒冷前線通過時は80%近いが、通過後は60%未満で落ち着いている。
以上から、高気圧に覆われ空気は安定し、大気中の水蒸気が減り、透明度は上がったと言えるだろう。
また、花粉やPM2.5も洗われたことが期待でき、23日夜の観測条件は良くなると見込める。

寒冷前線通過後はチャンスだね!
上空の水蒸気 (水蒸気画像)
直接的にわかるものはないのか!という方にお勧めしたいのが衛星画像。ニュースで、衛星画像をコマ送りにして雲の動きを追っていく様子はよく見かけるが、あれは可視画像であることが多い(夜の場合は赤外画像)。今回紹介するのは水蒸気画像。大気中の水蒸気の分布を知ることができる(衛星画像はこちらから)。晴れていてもすっきりしない…というときは雲として現れない水蒸気の存在を気にしてみよう。

ページに飛んだら、右上のタブから「水蒸気画像」を選ぶことができる。ぼやっとした白黒の画像だが、
白い領域:水蒸気が多い
黒い領域:水蒸気が少ない
と読み取る。これは先の2/22夜の寒冷前線通過前後の画像だが、たしかに寒冷前線の北西側は黒い領域が広がっており、上空の水蒸気が少なかったと考えられる。

自分のいる場所が黒っぽい様子なら条件はよさそうだね!
もう一歩踏み込んでみたい人へ
水蒸気画像は、水蒸気による吸収率が高い波長帯の赤外放射を観測することで表現している。つまり、水蒸気が少ないエリアは吸収されにくく、光が届く(より黒色で表現=暗域)。反対に、水蒸気が多いエリアは吸収され、光が届きにくい(より白色で表現=明域)ことを利用している。上層雲があると、雲の表面からの放射が衛星に近く、より濃い白で表現される。

濃い白の場合は上層雲の可能性が高く、地上付近は晴れていても空高くに薄雲が広がっている可能性がある。
偏西風の強風軸(最も風速の大きいライン)を探すためにもよく利用される(気象予報士試験頻出)。左の例のように暗域と明域の境界が強風軸の位置である。その北側は寒気を伴い、広く乾燥している(=暗域)ことがわかる。
[参考:小倉義光, 一般気象学 第二版, 東京大学出版会, 2020年4月20日]
データで読み取る上空の水蒸気 (700 hPa湿数)
水蒸気画像は、あくまでリアルタイムの様子しかわからない。明日明後日の上空の様子はわからないのか?というあなたに提案したいのが予想天気図(数値予報天気図)。

天気図に踏み込むの心配だな。。。しかも上空の天気図。。。

大丈夫!ポイントを押さえれば見るところは多くないよ。

ページに飛んだらここを見つけよう!
☜元の画像 と 加工した画像☞


2026/2/22 12:00UTC(21:00JST)を初期時刻として、24時間後の2/23 21:00JSTの状態を計算した天気図。黄色は日本列島の輪郭。
詳しい読み方はこちらで解説しています。

一つ一つやっていこう。そもそも。。。
・700 hPaは上空約3000 m付近の高さにあたる。
・湿数(単位[℃])は、(気温) – (露点温度)で計算される。気温=露点温度となると、空気はそれ以上水蒸気をため込んでおくことができなくなり、液体の水(=雲)として現れる。
・湿数が小さいということは、気温が露点温度に近く、あと少し気温が下がると雲が現れてきてしまう、ということ。湿数が大きいということは気温が下がっても雲がでてこない、つまり水蒸気をあまり含んでいない空気と言える。
・天気図では湿数が3℃より小さいエリアが網掛けで表現される。このエリアでは雲が広がるので星空観察では検討外となる。
星空観測・撮影で気にしたいのは自分の位置の湿数が何℃くらいか、ということだ。湿数が18℃以上となると空気は十分乾燥して、透明度に期待できる。2/23の夜は特に西日本で湿数が高く、空気が乾燥することが予想された。西日本では透明度の高い星空が期待できそうだ。尚、この評価は辺りが晴れている前提で、さらに空気の透明度を考える上での指標となることに留意されたい。例えば700 hPaよりも低い高度で擾乱があり雲が広がっていた…となるとこの評価をしても仕方ないので、まずはその地域が晴れそうか予想を確認してみよう。
空気中のチリ
気象庁のツール

特に春は黄砂や花粉が気になるところ。黄砂はこちらから飛来予想を確認できる。先の寒冷前線通過の頃の予測図だ。寒冷前線と共に黄砂も運ばれていることがよくわかる。
花粉情報やPM2.5飛散情報は民間の気象会社が予測を発表している。これらは一般にもなじみ深いだろう。
まとめ
準備もばっちり、天気も晴れ、なのに星空は微妙…なんてことにならないため、次のツールで上空の透明度を確認しよう。
- 水蒸気画像で上空の水蒸気量を見てみよう。
- 700 hPa予想天気図の湿数の分布を見て、事前に大気の湿り具合を知ろう。
- 大気中のチリの流入を様々なサービスから把握しておこう。

大気の透明度についてはこれでばっちりだね!整った条件で撮影に出かけよう。

予想への意見・反論・質問はぜひこちらから!